不器用な恋人28

高い酒なんて、飲み慣れないから。

世界が回るってこんなことかなぁって思いながら

ソファーに沈み込む。

その後の記憶は曖昧で。

確か、誰かに支えられながら

タクシーに乗って

気がついたら。

真っ白な知らない部屋だった。

シャワーの音がする。

ズキズキする頭を抱えて

起き上がろうとすると。

ガチャ

ドアを開けて出てきたのは、真っ裸のあの店のお姉さん。

ヒーーー

慌ててシーツの中に潜り込む俺。

あら、気にしないでね。

酔っ払ってると、できない人、よくいるのよ。

余裕たっぷりに

着替え、化粧までバッチリして。

彼女が出て行くまで。

俺は震えながら、シーツの中で待っていた。

できなかった、らしい。

綺麗な女の子といても、もう。

ドキドキしたり、ムラムラしたりしないんだ。

改めて。

自分の気持ちのあり様に気づく。

智と

コーヒーを飲みながら。

ゆっくりと過ごしたい。

俺は急いで着替え、部屋から飛び出した。